基本的事項
まずは知っておかなくてはいけないこと。
外部マニフェストの挙動
- 外部マニフェストはexeのみに適用される。
- そのexeが必要とするdllらには適用されない点に注意
- WindowsXP環境では、外部マニフェストのほうが埋め込みマニフェストよりも優先される
- 2003より優先順序が逆転した。
症状
再頒布ランタイムパッケージがインストールできない環境で発生した。
インストールできない環境とは、ユーザーがゲスト権限くらいしかない場合を指す。
あるいはどうしても事情により入れられないとか。
このときに、exeとdllと同フォルダにおいて、
そのプライベートアセンブリとして、VCランタイムを配置した。
このときに、最近のWindowsUpdateが適用されたバージョンを置いた。
(VC90.30729.4148バージョン)
そして、exeがこのバージョンのランタイムを使うように、外部マニフェストファイルを作成して
実行をさせようとした。
この結果が、昨日のエラーを引き起こしていた。
理由は、dllにはこのマニフェストの影響が及ばないからである。
故にdllは埋め込みマニフェストに従い、21022.8のランタイムを要求しているし、
exeは外部マニフェストによって強制された 320729.4148バージョンを要求する。
ここで同一のアセンブリ名であるためにdllがロードされてチェック機構が働いた段階で、
不整合がおこり、ローダーの段階で失敗してしまう。
その結果、exeが実行されることなく強制終了されてしまう。
試した環境ではエラーダイアログすら出ない。
解決策
簡単に解決する方法がある。
ひとつは、VisualStudio2008,およびSP1環境のデフォルト動作では、
RTM版のランタイムにバインドされる。
これは、9.0.21022.8 のバージョンである。
これに対応するランタイムを入手し、それをプライベートアセンブリとして使用する。
ただし、セキュリティ関係で問題になりそうな気もするが仕方ない.
もう一つは、最初から埋め込みマニフェストで最新バージョンを使うように
全部アプリケーションをリビルドする。
これには、まずプロジェクト設定の、プリプロセッサ定義で、
_BIND_TO_CURRENT_VCLIBS_VERSION を定義しておく。
これを行うとビルドした環境の最新のバージョンへバインドされる。
よって、最近のやつであれば 30729.4148にバインドされる。
リビルドにより dllからexeまでがこれに依存するようになるため、
VisualStudioのインストールディレクトリから再配布ランタイムをコピーして使用すればよい。
最後の方法は、exeでやったように、dllに対しても依存するアセンブリ情報を強制変更する方法である。
これには、hogehoge.dll.2.config というファイルを作成する。
ポイントは”2″という部分。
このファイルにより、目的のバージョンへバインドがリダイレクトするように設定すれば、
dllとexeのバージョン要求不一致を解決できる。
この方法は一応海外のMS CONNECTで記述があったためおそらく正式な方法だと思う。
しかし、日本語での情報が見つからなかったためここに書いてみた。